ソロメロディーを入れる
2025/11/27

ギターは音色が美しい楽器です。ハーモニーなしのソロで弾くと、その弦の音がつややかに響き、歌うように演奏したくなります。
メロディーにハーモニーが付くと曲は豪華に聞こえます。しかし逆に、ハーモニーなしのソロを曲の中に入れることでメロディーを際立たせ、また、曲に変化を作ることができます。
以下は Oh! Italia の2番目のフレーズです。
Oh! Italia ; 2nd phrase
青枠でくくったところをベースとメロディーだけにしました。その前までは3度下のハーモニーをつけておいて、ここで今まで鳴っていた音を急になくすことでメロディーに注意をひきつけました。30小節目はベースも一拍お休みです。
なお、このフレーズの2回目の繰り返しの同じ部分(33小節目)では6度下のハーモニーになっています。この曲は初めての作曲だったのでいろいろ試してみたのです。
次の例は Mount Adatara の中間部の途中からです。
Mount Adatara ; second half of middle part
この例では、アルペジオで湖のさざ波を、ソロで湖畔の静けさを、また曲頭に戻って4本の弦を鳴らすことで山の雄大さを表現しました。
ソロ部分はメロディーだけですから作曲は簡単です。ベースを鳴らすか鳴らさないかだけ考えればいいです。それよりも曲全体として音がたくさんあるところとソロのコントラストを考えるのが大事で、ここぞというところだけソロにするようにしています。
作曲面ではそのように曲全体の変化としてソロを考えますが、演奏する際にはそこが最も歌いたくなるところになります。一音しか鳴らさないのだから演奏は簡単です。だから弦を歌わせることに集中できます。
上の2例ではどちらもソロのメロディーを2弦で弾いています。その方が甘い音が出るし、ハイポジションになるためビブラートがよく効いて音につやが出ます。ギターという楽器の特徴を生かしたかったです。
もう一つ別の例をあげます。Medieval Villages No.3 の3曲目の「夕方」の曲を最初からです。この例は、先の2例と比べ、ずいぶん違いがあります。
Medieval Villages No.3 – Evening 
まず、メロディーに対して1オクターブ下の音が付いています。これはハーモニーでもないしベースでもありません。ソロメロディーの音色に厚みを持たせたいから付けたものです。オクターブ下の音がないと以下のように力のない音色になります。
単音
オクターブ下を付加
二つ目の違いは、ソロにしている目的です。最初の2例は、突然ハーモニーを消すことでメロディーを際立たせるという効果を狙ったものです。一方、この曲がソロで始まるのは曲のテーマの表現のためです。
音が消えた夕暮れの村。そしてどこからともなく聞こえないはずの音が聞こえてくる気がする。その、音のない村を表すためのソロです。
三つ目の違いは、このソロメロディーは感情豊かに歌いたいものではないことです。抑揚なく、つまらなく弾くべきものです。しかし、はっきりと目立っていないといけません。
ソロメロディーは音楽の魅力的な手段です。使い方もいろいろ工夫できます。作曲するのにも、演奏するのにも楽しい要素です。
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