ギターで歌う
2021/05/29
前回、声に出して歌うよりも簡単な方法があると書きましたが、実際は方法と言えるほどのものではありません。
どちらかというと、そういう方法ができるようになる方法があるということなのですが、それを書いてみます。
声に出して歌うのには、ちょっと欠点があります。私は絶対音感がないですから、歌った音をそのまま楽譜に写すことができません。同じメロディーをギターで弾きなおさないといけないのですが、歌った通りの音程だとギターで弾きやすい調になるとは限りません。それに居間で声を出して歌うと、ちょっとうるさくて家族に申し訳ないです。
では簡単な方法とはなにかというと、最初からギターで作曲するということです。それができれば簡単に決まってます。それはそうなのですが、最初はそれができなかったのです。では、なぜできるようになったのか?
私の最初の曲 Oh! Italia では、ギターを抱えて作曲を始めましたが、なかなかうまくできなくて、完成までには半年以上かかったと思います。しかしその間、ずっと集中して作曲していたのではありません。うまくできないものですから、数分もやっていると嫌になってやめてしまうのです。
やめたときに何をするか? ギターを抱えていますから、そのギターで今まで覚えた曲、つまりプロの作曲家が作った曲を弾いてしまいます。ちっとも形にならない私の曲を弾くよりも、完成された曲を弾く方が楽しいからです。そんなことを繰り返していたので、作曲はちっとも進みません。
そうやってなかなか作曲が進まなかったときに「声に出して歌ってみる」ことを思いつき、やっとメロディーがはっきりしてきました。すると作曲が楽しくなり、ハーモニーやベースの工夫に熱中するようになりました。つまり、ギターを抱えずに作曲を始めることで作曲できるようになったのです。そしてその第一の成果として最初の曲が出来上がり、第二の成果として声に出してメロディーを作るという方法を手に入れました。
しかしそのように作曲に熱中している間に、もう一つの成果があったようです。それはギターで歌うことができるようになったことです。これはギターの演奏に慣れたということではありません。ギターで作曲することに慣れたのです。その二つはかなり違うことです。最初からギターで作曲できるようになるには、この二つの違いを乗り越えるための訓練が必要です。
どんなことでも、興味をもって一生懸命訓練すれば能力は上がります。しかし本に載っている曲をいくら演奏しても作曲の訓練にはなりません。それはむしろ作曲を訓練する時間と、作曲への本気度合いを減らしてしまうマイナス要因だったようです。演奏するためにギターを抱えるのと、作曲をするためにギターを抱えるのはちがうことだということを知りました。
つまり、冒頭に書いた「簡単な方法ができるようになるための方法」とは他人の作った曲を弾かないことです。自分の手の中から出た音を鳴らすためだけにギターを使います。うまくいかなくても自分の曲しか弾かない。今までギター曲を弾いてきた経験は助けになります。これを半年くらい続けていると、作曲を手が覚えるようです。
ギターで作曲するともう一ついいことがあります。それはメローディー、ハーモニー、ベース、リズムがいっぺんに作れることです。ハーモニーは曲の展開を、ベースは曲の雰囲気を、リズムは躍動感を生み出します。メロディーだけでなく、それらを同時に弾くことで自分の作っている曲に乗れるようになり、より作曲が進むようになりました。
Sunflower Hill の作曲では、ネットで見つけたひまわりの写真を見てギターを弾き始めたら、いっぺんに冒頭部分が出てきました。(お酒を飲んで気分が良かったせいもあるかもしれません)。
最初からこんなに整った形ではなかったのですが、メロディーだけでなくハーモニー、ベース付きで出てきました。そして声と違って、鳴らした音がどの音かはっきりしているので、すぐに楽譜にすることもできました。これは便利!
しかし、Sunflower Hill のときのように、いきなりはっきりした曲が出てくることは少なく、たいがいは次のような頼りないものです。
こういう切れ端のような音楽を、ちゃんと1曲にするにはまた別のアプローチが必要です。それについてはいつかまた書くとして、次の項目ではどうしてギターで歌えるようになったのかを書こうと思います。
Photo by Frank on PhotoAC