メロディーを曲にする

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2020/10/28

メロディーだけをギターで弾けるほどメロディーがはっきり出来上がっている場合、以下の方法で曲にできます。メロディーがすでにあるので、作曲の仕方というよりも演奏しながらアレンジしてしまうということなのですが、私の作曲のベースになっている考え方です。Oh! Italia の例で話します。

まず、メロディーだけを単音でギターで弾いてみます。調が決まっている場合はその調で弾きますが、こだわりがないなら A major で弾きます。

次に、メロディーの3度下の音をつけます。つけたくない音や、弾きにくいところではつけません。

ここで3小節目につけた3度下の F#(赤矢印)の音は最終的には5度下の C#(小さな音符)になるのですが、とりあえずあまり深く考えずにそのままにしています。これでメロディーにハーモニーが付きました。

次にベースを付けます。A major のメロディーの場合、ベースは5絃開放(A)か6絃開放(E)、場合によっては4弦開放(D)なのでどれかを弾きます。弾いてみて「表現したい雰囲気が出る」方を選びます。多くの場合 A と E の順番を決めるだけです。正解があるわけではありませんが、ためしに順番の例を弾いてみます。

楽譜の丸でくくったところを実際の曲と逆の順にしました。A,E,A,E と同じ上下が繰り返すので、舟に揺られるような雰囲気が出ます。この方がいいと思うならこのままでいいですが、私は素直な流れになる A,A,E,E の順を選びました。聞き比べてみてください。

こうやってベースをつけて演奏してみると、3小節目の F# は「響きが合わない」ことがわかります。そこで「指の届く範囲で1音ずつずらして」よさそうな音を探します。この例では5度下の C# (青矢印)にしました。さきほどの F# で弾いたものと聞き比べてみてください。

次に音を膨らましたいところではもう一音足します。右手の小指は使わないため、ベース+3音で鳴らすのがギターの最大音数なので、あと一音足すだけでよいです。指が届く範囲でいい音を探しますが、届かない場合は音を足すのを諦めます。3小節目の和音は2フレット目をセーハすることで指が届く範囲で3音にすることができました(紫矢印)。出だしからちょうど広げたい場所だったので、弾き方もアルペジオ風にジャランと弾いています。

こんな簡単なことでクラシックギターの曲っぽくなりました。手順をまとめますと、

  1. メロディーを単音で弾く
  2. 3度下のハーモニーを付ける
  3. 表現したい雰囲気の出るベースを付ける
  4. 響きの合わないハーモニーは変える
  5. ふくらましたいところは音を追加する

ということです。「知識が無くてもできる」ということの要点は以下にあります。

  • 弾いて聞いてみて
  • 指の届く範囲で一音ずつ
  • 自分の好きな音を探す

これなら自分の耳と手があればできます。作曲の知識があれば、いちいち探さなくてもいいとか、弾いて聞かないでもわかるとか便利なことはあるかもしれません。でも指が届かない曲を作っても仕方ありませんし、自分が気に入る音かどうかに知識は関係ありません。プロは短時間で曲を作らないといけないので知識が役立つと思いますが、私はゆっくり音を探しながら作る方が楽しいし、ギターにも慣れるのでこれでよいのです。この方法でできた曲が Oh! Italia です。

Oh! Italia: 五線譜↗️

この曲を作るにはあともう一つ工夫をしていますが、基本的なやり方はここに書いた通りです。この方法を知っていると、メロディーさえできれば曲にはできるという安心感が持てます。

私はこのやり方を作曲のために考えたのではなく、子供にクラシックギターの弾き方を教えるために考えました。「中指でメロディー、人差し指で和音、親指でベースを弾く」という弾き方です。ベートーベンの歓喜の歌を即興で弾いてやったら「すごーい」って言われましたが、簡単です。

あともう一つの工夫は次の項目として書いていこうと思います。


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▲ 作曲についてもうちょっと:目次

Photo by Maruoka Joe on PhotoAC