ベルサイユ宮殿

2024/10/2

威厳、豪華、そして広大。

私たち夫婦はベルサイユ宮殿を訪れたことがあります。しかし後でわかったのは、私たちが見てきてのは全体のほんの2~3パーセントでしかなかったということでした。


新婚旅行でベルサイユ宮殿を訪れたのはもう34年も前のことです。パリから遠く離れた日本であっても、ベルサイユ宮殿の名前を知らない者はいません。ヨーロッパ最後に寄るべき場所としてそこを選びました。しかしネットがまだなかった時代、ガイドブックも持たずにパリを歩き回っていた私たちはベルサイユの広大さを知らなかったのです。

夜には帰国の飛行機に乗らないといけないのに、宮殿についたのは夕方近くでした。その前に行ったオルセー美術館ではいくら時間があっても足らなかったのです。ベルサイユでは結局建物のなかには入らず、庭園のごく一部を散策するだけで終わりにするしかありませんでした。

ネットで手軽に写真が見れる時代になって知ったことは、まずその室内の豪華さ、王室礼拝堂の荘厳さ。そして壁という壁に絵画、廊下という廊下に彫像があること。庭園のそこかしこにも彫像があり、また信じられないほど広大な敷地には、複数の宮殿と大聖堂、さらにはわざわざ作らせた田舎村まである。これはもう王室テーマパークです。

しかし私たちが歩いたわずかな範囲でも、文化の違いは十分に感じられました。

まず建築物の見せ方。日本の高貴な方の住まう御所は屋根の美しさを強調します。そのため建物自体は平屋ですし、壁はむしろあまりない方が良く、室内と自然の境界をあまり感じさせないように作ります。一方ベルサイユ宮殿の圧倒的な存在感は壁でした。広く、そして高く、窓をならべ、彫像でかざり、金で飾り。

また庭園の作り。ベルサイユの庭園を一目見て驚いたのが左右対称に幾何学的な形で整然と作られていることです。日本の庭は自然の姿の理想表現なので、人工的なものを感じさせないように作ります。また気の流れを感じさせるために左右対称ということは絶対にありません。

どちらも同じく美しさと高貴さを追求した結果なのにこんなに違うなんて。はるばるヨーロッパまで来たかいがあるというものです。

もし宮殿室内に入っていたら、そこでもまた文化の違いを大いに感じたことでしょう。しかし、そこは残念。ネットの写真を見て我慢するしかありません。写真からは、当時そこに住んでいた王族たちの優雅な暮らし、庶民とは違う悩み、常に高貴でないといけない立場、そういう別世界を感じます。あまりに豪華なので、庶民の私にはうらやましいという気持ちさえ湧きません(笑)


ところでこの曲は、もとはといえばバラの曲として作り始めたものでした。しかし紆余曲折を経て宮殿の曲として、バラの曲から分離することになりました。その辺の事情は「宮殿のバラ」の説明にあります。

自分の目では見てこれなかったいろいろなベルサイユ宮殿の姿を一曲に詰め込んで、楽しい曲にしてみました。

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