無時計諸島

2020-2-24

南の島で時を刻むのは、時計ではなくて海岸の波です。短針は太陽。秒針は波。分針は? ああ、それは一番欲しくないものです。

まだまだ寒さが続きますが、私は暑い季節が好きです。せめて気持ちだけはと思い、南国の曲を作ってみることにしました。最初は南国の “暖かさ” がテーマだったのですが、作り始めてからさてなんで南国なんだろう? 結局ほんとうに作りたいのは暖かさではなく “縛られていない” 事なんだなと気が付きました。

私の生活は時計に強く縛り付けられています。時計は朝起きるときも夜寝るときも、お昼ご飯を食べる時刻でさえ私に命令してきます。おかしいですよね? 時計は人間が作った物なのに。中途半端に発達した科学技術に私は命令されているのです。でも更なる進歩により、いつの日かまた人間は時計のない世界に戻れると信じています。

この曲はありふれた感じのものになりましたが、オリジナリティーはどうでもいいです。自分で演奏できる、縛られていない曲が欲しかったのです。この曲の主役はメロディーではなく、のんびりとしたベースの方です。弾いてみるとわかりますよ。

この曲の最初のパートは、4+4 小節ではなく 5+3 小節という不均一な形になっています。こういうことは私が自由に作っているとよくおこることなんですが、ふつうはそれを 4+4 小節に調整しなおしています。でも今回はそのままにしておきました。この余分な 5 小節目が、時計に縛られたくないという気持ちを表しているように思ったからです。

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